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東京高等裁判所 昭和53年(行コ)88号 判決

控訴人(原告) 東日貿易株式会社

被控訴人(被告) 麻布税務署長

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  当事者の申立

控訴人は、「原判決を取消す。被控訴人が控訴人の昭和四三年七月一日から昭和四四年六月三〇日までの事業年度(以下、「本件事業年度」という。)分の法人税につき昭和四六年七月三一日付でした更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以下、両処分を合せて「本件更正処分」という。)を取消す。訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文と同旨の判決を求めた。

二  当事者の主張

1  控訴人の請求の原因

(一)  本件更正処分等に関する事実関係

本件更正処分及びそれに対する不服審査の経過等に関する事実関係は、原判決二丁表末行から同三丁表三行目までに記載のとおりであるから、これをここに引用する。

(二)  本件更正処分の取消しを求める事由

控訴人の本件事業年度における所得金額は、確定申告のとおり、零円とすべきものであるにもかかわらず、本件更正処分においては、右所得金額を二一八五万三五一七円と認定、判断しているが、これは、事実の認定、法令の解釈を誤つたものであるから、違法である。よつて、控訴人は、本件更正処分の取消しを求める。

(なお、控訴人は、原審においては、本件更正処分の取消しを求める事由として、更正要件の不存在及び更正通知書における理由附記の不備をも主張していたが、当審においては、これらの主張を撤回した。)

2  請求原因に対する被控訴人の認否

請求原因(一)の事実は認めるが、同(二)の事実及び主張は争う。

3  被控訴人の主張及びこれに対する控訴人の認否

控訴人の本件事業年度における所得金額の認定、判断に関する被控訴人の主張及びこれに対する控訴人の認否は、原判決一一丁裏七行目の「金鐘珞」を「金鍾珞」と、同行の「金鐘泌」を「金鍾泌」と、同末行の「金鐘珞」を「金鍾珞」とそれぞれ訂正するほかは、原判決八丁裏七行目から同一二丁表六行目まで及び同一二丁裏四行目から同一〇行目までに各記載のとおりであるから、これをここに引用する。

三  証拠関係〈省略〉

理由

一  請求原因(一)の事実は、当事者間に争いがない。

二  ところで、控訴人は、控訴人の本件事業年度における所得金額を二一八五万三五一七円とした本件更正処分における被控訴人の認定、判断には、事実の認定、法令の解釈を誤つた違法があると主張しているので、その主張の当否について判断する。

1  まず、被控訴人は、控訴人の本件事業年度における所得金額を二一八五万三五一七円と算定した根拠として、その加算項目及び減算項目を原判決八丁裏七行目から同一二丁表六行目までに記載のとおり(但し、前記のとおり訂正した後のもの。)計上しているが、右加算項目及び減算項目のうち加算項目たる使途不明交際費三八一〇万円を除くその余の各項目の計上の正当性については、当事者間に争いがない。

2  そこで、右使途不明交際費三八一〇万円を本件事業年度の所得の加算項目として計上することの正当性について検討すべきところ、当裁判所も、原審と同様、右計上は正当であると判断するものであり、そして、その理由は、次のとおり訂正又は付加するほかは、原判決一六丁裏一〇行目から同二五丁表初行までに記載のとおりであるから、これをここに引用する。

(一)  原判決一六丁裏末行の「証人」を「原審証人」と、同一七丁表二行目の「(第一回)」を「(原審第一回)」と、同五行目の「右証人斉藤の証言」を「原審証人斉藤、当審証人吉村二郎の各証言」と、同六行目の「(第一回)」を「(原審第一回、当審)」とそれぞれ訂正し、同一七丁表六行目の右訂正後の「(原審第一回、当審)」の次に「と、弁論の全趣旨と」を付加する。

(二)  同一七丁表九行目の「三〇日」の次に「東京都内の」を付加し、同一〇行目の「金鐘泌」を「金鍾泌」と、同末行の「金鐘珞」を「金鍾珞」とそれぞれ訂正し、同丁裏初行の「七日」及び同五行目の「二四日」の各次にいずれも「東京都内の」を付加し、同五行目から同六行目にかけての「駐日韓国公使である李圭星」を「韓国政府ないし同大使館の高官」と訂正し、同八行目から同九行目にかけての「二七日」の次に「右」を付加し、同九行目の「右(三)記載の李圭星」を「韓国政府ないし同大使館の高官」と訂正し、同末行の「三〇日」の次に「前記」を付加し、同一八丁表初行の「金鐘珞」を「金鍾珞」と訂正し、同三行目の「各金員を」の次に「いずれもその使途を定めず交付したものであり、かつ、右各交付の際領収証等を受領しなかつたこと、そして、控訴人は、右各金員を」を、同九行目の「反する」の次に「的確な」をそれぞれ付加する。

(三)  同一八丁表一〇行目の次に、行を改めて、「なお、控訴人は、右(三)及び(四)の各金員を駐日韓国公使である李圭星に交付した旨主張しており、原審証人斉藤の証言及び控訴人代表者久保正雄尋問(原審第一回、当審)の結果の中には、右主張にそう供述のあることも認められる。しかしながら、原本の存在及び成立に争いのない乙第一五、第一六号証並びに弁論の全趣旨によれば、李圭星は、昭和四〇年当時は駐日韓国公使の職にあつたが、昭和四一年三月ごろ駐米公使に転補され、同年六月ごろには駐日公使の職になかつたことが明らかであるから、右各金員の交付当時李圭星が駐日韓国公使の職にあつたことを前提にしていると認められる右証言及び代表者尋問の結果は、にわかに採用することができないし、その他に右主張を確認するに足りる証拠はない。したがつて、右各金員の交付を受けた者の具体的な官職及び氏名は、結局不明というほかない。」を付加する。

(四)  同一八丁表末行の「成立に争いのない」の次に「甲第一六号証、」を付加し、同行の「証人」を「原審証人」と、同丁裏初行の「(第一回)」を「(原審第一回)」と、同二行目から同三行目にかけての「証人」を「原審証人」と、同三行目の「(第一回)」を「(原審第一回)」と、同五行目の「証人」を「原審証人」とそれぞれ訂正し、同六行目の「除く。)」の次に「、当審証人嶋元謙郎」を付加し、同七行目の「(第一、二回」を「(原審第一、第二回、当審」と、同二〇丁裏八行目の「証人」を「原審証人」と、同九行目の「(第一、二回)」を「原審第一、第二回、当審)」とそれぞれ訂正する。

(五)  同二一丁表三行目の「証人」を「原審証人」と訂正し、同四行目の「原告代表者本人」の次に「(原審第一、第二回、当審)」を付加し、同二二丁裏二行目の「前記のとおり」から同三行目の「あるとはいえ、」までを「前記のとおり、交付金額の最も多い(三)及び(四)については、韓国政府ないし同大使館の高官というだけで、その官職及び氏名が不詳であるうえ、(一)ないし(五)のいずれについても、」と訂正し、同三行目の「成立について」の次に「相手方から」を付加し、同六行目の「そして、他方」を「更に」と、同八行目の「(第一回)」を「(原審第一回、当審)」と、同二三丁表七行目の「金鐘珞」を「金鍾珞」とそれぞれ訂正し、同二三丁裏四行目の「考えました」」の次に「など」を、同六行目の「その後に至り、」の次に「本件金員の交付が」を、同七行目から同八行目にかけての「認められる。」の次に「そして、」をそれぞれ付加し、同八行目の「証人」を「原審証人」と、同八行目から同九行目にかけての「(第一回)」を「(原審第一回、当審)」と、同一〇行目の「廃棄するよう久保から」を「かねて久保から廃棄するように」とそれぞれ訂正し、同二四丁表四行目の「照らすと、」の次に「右供述は」を付加する。

(六)  同二四丁裏二行目の「である。」の次に「そして、」を、同五行目の「いうべきである」の次に「(なお、当審証人吉本二郎の証言によれば、右のような科目の使用は、公認会計士兼税理士であつて控訴会社の税務指導を担当していた吉本二郎の提案によつてなされたものであることが認められるが、この事実は、右認定を補強するものでこそあれ、何ら右認定を左右するものではない。)」を、同六行目の「右金員」の次に「の支出」を、同七行目の「直接必要な」の次に「経費の」を、同八行目の「事業」の次に「の遂行」をそれぞれ付加し、同八行目から同九行目にかけての「無償給付としての性格をもつもの」を「寄付金としての支出にすぎないもの」と訂正し、同二五丁表初行の次に、行を改めて、「したがつて、右金員については、本件事業年度の損金としての算入を否認し、これを同事業年度の所得の加算項目に計上するのが相当である。」を付加する。

3  そうすると、控訴人の本件事業年度の所得金額に関する本件更正処分の認定、判断は正当というべきであり、そして、その他に右更正処分を違法とすべき事由は認められない。

三  如上の次第であつて、本件更正処分の取消しを求める控訴人の本訴請求はその理由がないから、これを棄却した原判決は相当というべきである。よつて、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 川上泉 奥村長生 橘勝治)

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